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CDよりTVの方が音がいい? ~海苔波形との闘い「ウラオモテ・フォーチュン」編~ [検証可能な音質比較]

 アニメのOP/ED曲が気に入ったのでCDを買ってはみたものの、なんか音がいまいちで、オンエア時のTVサイズの方がもっとクリアな音だったような気がする。そんな経験ありませんか?

それ、あながち気のせいではないんです。

 典型例としてご紹介するのがこちら。「月間少女野崎くん」のエンディングテーマで、小澤亜李が歌う「ウラオモテ・フォーチュン」です。

TVアニメ「 月刊少女野崎くん 」エンディングテーマ「 ウラオモテ・フォーチュン 」

TVアニメ「 月刊少女野崎くん 」エンディングテーマ「 ウラオモテ・フォーチュン 」

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2014/08/27
  • メディア: CD

まずはCDの波形を見てみましょう。今回とりあげたのはマキシシングル (ZMCZ-9576) です。

uraomote_CD_waveforms_AC.png
uraomote_CD_spectrum.png

 音圧競争の成れの果ての、いわゆる海苔波形です。嘆かわしい話ですが、一介のアニメ主題歌にすぎない本作が、ここ20年ほどの業界の悪しき慣習から逃れられるはずもありません。

 一方、TV放送 (CS キッズステーション) の録画からとってきたEDの冒頭波形がこちらになります。

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uraomote_CS_waveforms_AC.png
TV放送 (CS キッズステーション)

 CD用にマスタリングする前の音源を使ってくれているようで、かなり良心的な波形になっています。本編の台詞の音量とバランスをとって、曲がうるさくならないようにミキシングすると自然とこうなるはずですね。CS放送は本来 fs=48kHz での配信ですが、ここではCDにあわせて fs=44.1kHz にリサンプリングしています。番組によっては音声トラックが15kHzくらいに帯域制限されて放送されているものもありますが、スペクトルを確認すると20kHzまで出ています。

 ここで比較試聴のため、CDから冒頭の同じ部分を切り出しました。そのまま聞き比べるには音圧が違いすぎますので、CDの方はレベルを調整してあります。今回の場合、CDの音量を5dB下げると聴感上のボーカルの音圧がほぼ同じになりました。
uraomote_CD-5dB_waveforms_AC.png
CD (音量補正 -5dB)

 百聞は一見 (聴) にしかず。聞き比べてみましょう。なお、このページ内の音声ファイルの拡張子は.mp3になっていますが、中身は非圧縮の.wav (44.1kHz/16bit) です。
 一聴してお分かりの通り、CDでは小澤亜李のせっかくの透明ボーカルがかなり歪んでしまっており、声の抜けの違いが一目瞭然です。また、ボーカルの背後で小さく鳴っている音に注目すると、いかに情報量が落ちているかがわかります。これでは、せっかく買ったCDの音にがっかりするのも無理ないですね。

 今回は典型例としてこの曲を取り上げましたが、もちろん全てのケースでオンエア版の方がCDより音が良いわけではありません。音圧加工済みの海苔音源を、レベルを下げて使っているだけの番組の方がむしろ多いです。とはいえ、TVサイズ版はフルコーラスのCDとは別ミックスになるのが普通ですので、少しでも海苔波形から逃れたい場合は、TVのエアチェックに期待してみるのもひとつの手かもしれません。

海苔波形との闘い 第二弾はこちら
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